ロジカルクッキングにおける塩加減(塩分濃度の計算)について
「料理は3つのルールでおいしくなる」
こう主張するのは、料理科学研究家の水島弘史シェフ。
水島シェフは、科学的調理理論を取り入れた独自の調理指導をされている方です。
『強火をやめると、誰でも料理がうまくなる!』(水島 弘史):講談社+α文庫 製品詳細 講談社BOOK倶楽部
「料理の常識」は根拠のない思い込みだらけ! 強火で肉を焼いても、うまみはとじ込められない。家庭のコンロは「火力が強すぎる」。野菜を弱火で炒めても水っぽくならない……気鋭のシェフが研究を重ねて辿り着いた、科学的調理術はシンプル。 1.火のルール 2.塩のルール 3.切り方のルールたった3つのルールで美味しくなる! …
この調理理論は ロジカルクッキング と呼ばれています。
ロジカルクッキングにおいては、「火加減」「塩加減」「切り方」の3つのルールが重要であるとされています。
新常識!肉を焼くなら「冷たいフライパン」 | あなたの料理が劇的に変わる3つのコツ
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この3つのルールを守れば、誰でもおいしい料理が作れるというわけです。
このうち、「火加減」と「切り方」は知識だけでなく、ある程度の技術も必要であり、素人にはややハードルが高めな印象。
一方で「塩加減」については、理由は後述しますが 時間をかければ誰にでもできる ので、素人がまずすべきはここではないかと思いました。
というわけで今回は、ロジカルクッキングの3つのルールのうちの1つ、「塩加減」について考えていきます。
塩加減の調整に失敗してしまう原因
水島シェフは
もうひとつ提唱したいのは、「塩加減」。「これが正しければ料理は完成する」と断言したい。
新常識!肉を焼くなら「冷たいフライパン」 | あなたの料理が劇的に変わる3つのコツ
と言い切っています。
しかし一度でも料理をしたことがある人は「塩加減」を「正しく」調理することは、結構難しいと感じていることでしょう。
それではなぜ塩加減の調整が難しいのか、我々料理の素人が失敗してしまう原因について考えてみました。
レシピに記載されている「分量」のあいまいさ
このような経験はないでしょうか?
ちまたのレシピには「にんじん(大)1/2本」といったような分量の記載がよくあります。
しかし「にんじん(大)」といわれて想像する大きさには個人差があると思いますし、正確に半分に切り分けるのも結構難しいです。
それなのに調味料もレシピ通り「醤油 小さじ1」としてしまうとどうなるでしょうか。
「にんじん(大)1/2本」がレシピ作成者の考える量よりも多ければ、出来上がった料理は薄味になってしまうでしょう。
反対にレシピ作成者の考える量よりも少なければ、出来上がった料理は塩辛くなってしまうと思います。
プロの調理イメージによる弊害
このような光景を見て「なるほど、こんな感じで適当でいいのか」と素人が真似をする。
これも味付けがうまくいかない原因であると考えます。
料理番組の講師や中華料理のシェフは当然ですがプロです。我々とは圧倒的に場数が違います。
彼らは 肌感覚で適量が分かった上で適当にやっている のです。
ですので、我々が雰囲気だけ真似して適当にやると失敗する可能性が非常に高いです。
(たまたまいい塩加減になることもあるかもしれませんが、確率でいえばギャンブルのようなものです)
いずれにしても、食材の分量に対して調味料の塩分量が適切でないことによって味付けに失敗してしまう、ということです。
ただ逆をいえば、計量・計算をちゃんとして適切な塩分量の味付けをすれば失敗のしようがありません。
塩加減の正解
水島シェフは
これにも科学的な回答がある。それが、「素材の重さに対して0.8%の塩」というルールだ。
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ではなぜ、最適な塩分は食材の重さの0.8%なのか? 実は、この塩分濃度は人間の体液の塩分濃度とほぼ同じであり、脳が本能的に「おいしい!」と感じる濃度なのだ。
新常識!肉を焼くなら「冷たいフライパン」 | あなたの料理が劇的に変わる3つのコツ
と説明しています。
食材や調理方法によって多少の上下はあるものの、おおむね 料理の塩分濃度が0.6%~0.8% であれば、だいたいの人はおいしいと感じるようです。
例えば食材の重量が300gの場合は、塩分濃度を0.8%にするのであれば
という計算によって、塩で味付けする場合の適量を求めることができます。
またこれを元に、塩でなく醤油(塩分濃度14.49%)で味付けをする場合には
という計算によって、その適量を求めることができます。
この重量の調味料を下記のような0.1g単位のクッキングスケールで量って入れることで料理の味付けが決まります。
デジタルクッキングスケール KJ-212
株式会社タニタのホームページです。デジタルクッキングスケール KJ-212(ホワイト)のページです。
アプリで簡単に調味料の適量を計算
それでは、醤油・オイスターソース・顆粒だしなど、塩分濃度の異なる調味料を組み合わせて味付けをしたい場合にはどのように計算すればよいでしょうか?
それぞれどのような比率で使用するか決めて、
組み合わせると塩分濃度が何%になるから、
・
・
・
計算できなくはないけれど、面倒だな...
そう感じる方が多いのではないかと思います。そして
計量もしなくちゃならないし、こんなに面倒なら目分量でいいや
と諦めて結局適当に味付けをしてしまうかもしれません。
計量・計算をちゃんとして味付けをすれば失敗のしようがないのに、「面倒」を理由にそれをしないのはもったいない。
そのような考えから、面倒な計量・計算のうち、計算を自動でしてくれるiPhone/iPad用アプリ「oishio」を開発しました。
iPhone / iPad アプリ
oishio - 調味料の適量を計算 |
oishioに計量した食材の重量を入力することで、人がおいしく感じる、ちょうどいい塩加減になる調味料の量を自動で計算します。
詳しい使い方はこちらに記載しています。
[塩分計算アプリ] oishio - 調味料の適量を計算
「料理の塩分濃度が0.6%~0.8%であれば、だいたいの人はおいしいと感じる」と言われています。しかしながら、「0.6%~0.8%の塩分濃度」になる調味料の量を求めるにはかなり面倒な計算が必要になります。oishioはこの面倒を解決するiPhone/iPad用アプリです。
iPhone・iPadをご利用の方は無料でお試しいただけますので、ぜひダウンロードしていただき、日々の料理にご活用ください。
参考:ホットクックの利用
なお、ロジカルクッキングの3つのルールのもう1つ「火加減」は、シャープの調理家電「ホットクック」にまかせることができます。
これで我々素人でもロジカルクッキングのルールの2/3を守って料理を作ることができますよ。
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